【施術報告 指の痺れ】施術例8 肘部管症候群の易改善症例と難治性症例を比較

2024年05月21日

施術例8 肘部管症候群の易改善症例と難治性症例を比較

【易改善症例】

50代男性 / 会社員 / 船堀在住

非喫煙者、営業職をしており手指を酷使する作業はない、肘関節周辺の外傷の既往無し

・症状

4年程前から左の小指と薬指に痺れと痛みを感じていた。某大学病院にて肘部管症候群の診断を受けた。夏場は緩和するが冬場は症状が強くなる傾向があった。半年程前からジムで筋トレを始めたところ症状は急激に強くなり当院を受診。

 
・経過と施術内容

初診 

日常生活に支障はなく左肘を深く曲げた状態を継続すると小指と環指に痛みが出る。筋の麻痺はなくフローマンサインも見られなかった。施術は、肘部管周辺への超音波治療、鍼灸治療、手技療法を行った。生活指導として、前腕屈筋群のストレッチと上半身の筋トレ頻度を半分程度に減らすように指導した。

第2診 

痛みが出現することはほぼ無くなった。

第3診

筋トレ前後の上腕と前腕のストレッチを習慣化することで再発なく施術は終了となった。

 

【難治性症例】

60代女性 / パート / 東大島在住

喫煙者、スーパー勤務で商品の移し替えで手指を酷使することが多い、海藻類が苦手。肘関節周辺の外傷の既往無し

・症状

半年前にスーパーの仕事は始めてから左の小指と環指に痛みを感じるようになった。整形外科を受診し電気治療を行っていたが改善は見られなかった。2ヶ月程前から手で水をすくう動作が出来なくなり日常生活にも支障をきたすようになり当院と受診。

・経過と施術内容

初診~8診

初診の段階で、鷲手変形が確認できフローマンサインも陽性で麻痺が進行していることが確認できた。施術は、肘部管周辺への超音波治療と左上肢全体の手技療法を行った。生活指導として、前腕屈筋群のストレッチを指導したが改善は見られなかった。

第9診

肘の負担を極力減らすため、スーパーの仕事は辞めて、手さげ鞄も肘ではなく肩に掛けるよう生活全体を見直すことにした。禁煙、食生活改善なども提案した。

第10~31診

仕事は受付業務となり手指の負担が減ったことで小指と環指の痺れと痛みは軽減されたが、筋の萎縮に変化はなく麻痺は残っていた。施術は、尺骨神経に沿って電気刺激を加え、麻痺している筋のリハビリ運動を行った。第18診で、手で水をすくうことが出来るようになっており骨間筋や虫様筋の筋力が回復していることが確認できたが、フローマンサインは陽性であった。

第32診

部分的に萎縮と麻痺は残っているが、小指環指の痛みは落ち着いており施術は終了となった。

・考察

肘部管症候群は、「尺側手根屈筋腱」、「オズボーン靭帯」、「上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋間」で尺骨神経が圧迫されることが原因とされている。両症例ともに肘関節周辺の外傷の既往歴がないので構造的な原因よりも、主に生活様式による要因が改善の良し悪しを左右したと考察した。

 

  • 仕事内容

仕事で手指を酷使する場合、安静を保つことが難しく改善しにくい。

  • 喫煙の有無

喫煙は血流を減少させるため組織の変性が進みやすい。

  • 性別

女性の場合は、加齢とともにエストロゲンが減少し腱や靭帯の変性が起きやすい。

  • 食生活

神経の修復には、ビタミンB12が有効とされている。ビタミンB12は海藻類に多く含まれており、難治性の症例では海藻類が苦手でほとんど口にすることがないということであったので回復が難しかったと推察される。

仕事内容については職種を変更することで対応できたが、②~④は食生活や趣向など患者様のライフスタイルが大きく関与しており改善するのに苦慮した。これまでの整骨院業界では、運動器に対するアプローチがメインであったが、それだけでは不十分であると実感した。性別、年齢、職業など患者様のライフスタイルを把握した総合的な治療が求められる時代に突入したのは間違いないと思う。はればれ整骨院では、分子栄養学相談、メンタルヘルスケア相談なども以前から行っており当院のこうした取り組みが実を結ぶことを願ってやまないです。

・使用した主な技、ツボ

コアレ、ハイボルテージ療法、超音波療法、鍼治療、肩矯正、分子栄養学相談

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