【施術報告20 肩が痛くて腕が動かせない(腱板損傷)】

2025年05月28日

患者情報

50代男性/建設業/一之江在住

症状

 2年程前から右肩関節に違和感があった。特に右腕を挙げるときに痛みを感じること多かった。4/20現場用トラックに乗車する際に足を滑らせ落下しそうになった。右手で手すりを掴みふんばった時に右肩に激痛が走った。直後から右肩関節を動かすことが出来なくなった。

経過と施術内容

初診(4/21)

 受傷の翌日に来院。疼痛で右上肢の重さを支えることができず屈曲・外転の自動運動も不能な状態であった。大結節部に圧痛が認められたため、腱板損傷と判断し施術をすすめることとした。初回はハイボルテージ療法で患部の疼痛を軽減させるとともに三角巾で提肘し患部の安静をはかった。初診時の写真では、右利きであるにもかかわらず、患側の棘上筋と棘下筋に萎縮がみられた。受傷前から腱板の変性が進行していたものと考えられた。

第2診(4/22)

疼痛は軽減しているが自動運動はできない状態。引き続き、ハイボルテージ療法を行い、三角巾の提肘は継続し力仕事は控えるようにした。

第3診(4/25)

 安静時の疼痛は消失したが自動運動は疼痛によりできない状態。しかし、他動運動であれば屈曲・外転が可能となっていた。さらに1週程提肘を継続し、自動運動の疼痛が軽減した段階で肩関節のインナーマッスルのリハビリを開始することとした。

第4診(5/1)

 三角巾を外すこととしたが、自動運動では痛みがありリハビリは難しい状態であったため、EMSを使用した筋力強化を行った。EMSは棘上筋と棘下筋を集中的に収縮させた。

第5診(5/9)

 引き続きEMSを実施した。EMS後は自動での外転運動は不能であったが、肩関節外転90°まで補助付きで挙上すれば外転90°を10秒間維持することはできたようになっていた。また、肩関節の内旋傾向が強いため1stポジションでの外旋運動のリハビリを取り入れ棘下筋を強化することとした。棘下筋トレーニングは自宅でも実施してもらうこととした。

第6診(5/15)

 前回同様EMSを実施。EMS後は肩関節外転運動(90°まで)が数回(2~5回)ではあるが可能となっていた。前回の棘下筋のリハビリに加え、棘上筋の筋力強化訓練(外転90°を10秒間保持)も取り入れた。上腕骨頭の内旋も改善させており、次回から外転90°以上のリハビリを開始することとした。

第7診(5/23)

 EMSをかける前の段階で外転90°以上の運動がある程度可能となっており、日常生活でも車のハンドルを切ることが出来るようになっていた。ただし、90°以上の肢位を保持し続けるのは困難な状況であった。

第8診(5/28)

 筋力低下の影響はあるものの90°以上の肢位を保持できる時間が伸びており改善傾向にあった。EMS及び自宅でのリハビリの効果が顕著にみられるようになっていた。施術の効果が目に見えて分かるようになり、患者様もリハビリに意欲的になっており、引き続きリハビリを継続中である。

考察

 本症例の患者様は、建築現場で若い頃から働いており重量物の運搬などの作業が多かった。そのため、知らず知らずのうちに肩関節への負担が蓄積し、受傷前から腱板に微細な損傷があったと思われる。

使用した技

ハイボルテージ療法、三角巾、リハビリ、EMS(モンスター社製コアレ)